|
|
|
|
アレルギーのしくみ
|
|
|
アレルギーの原因は免疫機能のアンバランスよるものですが、非常に難しいしくみのため、まずは簡略化して物語で説明します。
【免疫王国の崩壊】
免疫王国には王様(ヘルパーT1細胞、以下Th1)と女王様(Tヘルパー2細胞、以下Th2)がいて、この2人が国を治めていました。王国には軍隊がありました。軍隊には王様直属の特殊部隊のキラーT細胞と武器輸送隊のB細胞、そして、前線で戦う歩兵隊のマクロファージと好中球、生物化学兵器隊のマスト細胞がいました。
ある日、ばい菌王国から敵であるウイルスと細菌が国境を越えて攻めてきました。そこで、王様(Th1)はすぐに軍隊に戦闘命令を出しました。
まず、武器輸送隊(B細胞)が、すぐに前線にミサイルなどの武器(IgGなどの抗体)を運び、歩兵(マクロファージ、好中球)が、その武器で細菌を殺しました。
さらに、前線に特殊部隊(キラーT細胞)が送り込まれ、ウイルスを仕留めました。
このように、免疫王国の軍隊は王様(Th1)の指揮のもと非常に強大な力を誇っていました。
しかし、ある日ストレスにより王様(Th1)は病気で入院してしまいました。そして、その間、女王様(Th2)が免疫王国の軍の指揮にあたるたることになりました。
そんな折、ダニ王国、花粉王国、そしてハウスダスト王国の軍隊が免疫王国に軍を引き連れてやってきました。
ダニ王国、花粉王国、ハウスダスト王国は、免疫王国の敵ではなく、王様(Th1)とは古くからの顔なじみで、実は王様のところに遊びに来ただけだったのですが、戦争を指揮したこともなく、王様の友人も知らなかった女王様(Th2)は、自国が攻撃されるものと勘違いして、早まって戦闘命令を出してしまいました。
女王様は、武器輸送隊(B細胞)に強力な核爆弾を前線に運ぶよう指示を出し、前線には歩兵隊(マクロファージ、好中球)ではなく、生物化学兵器隊(ヒスタミン、ロイコトリエンを持ったマスト細胞)を送り込んでしまいました。
さらに悪いことには、女王様(Th2)はパニックになっていたため、前線で戦っている生物化学兵器隊(マスト細胞)に、核爆弾(IgE抗体)を爆発させ自爆するように指示を出してしまったのです。
こうなったらもうぐちゃぐちゃです。敵でもないダニ、花粉、ハウスダストを攻撃し、自国内で核ミサイル(IgE抗体)を爆発させ、生物化学兵器(ヒスタミン、ロイコトリエン)を撒き散らしてしまいました。
そのため、自国はめちゃめちゃに破壊され、国民の多くが生物化学兵器(ヒスタミン、ロイコトリエン)で深刻なダメージ(炎症、かゆみ)を負ってしまいました。
これがアレルギーが起こる仕組みなのです。
まとめると以下のようになります。
●正常な免疫機能
- 正常な免疫機能はTヘルパー1が優位で、外部から進入した細菌(抗原)に対し、B細胞にIgGなどの抗体を産生する指令を出す。
- 指令を受けたB細胞は、抗体を製造し、細菌に結合させる。
- 細菌に結合した抗体を好中球が取り込み殺す。
- マクロファージは直接細胞を食べて消化する。
- ウィルス感染した細胞に対しては、キラーT細胞がその細胞ごと殺す。
|
|
|
|
|
|
●アレルギーの人の免疫機能
- 環境汚染やストレスなどによって、免疫機能がアンバランスになり、Tヘルパー2が優位になる。
- 外部から進入するダニやハウスダスト、花粉などの本来害のない抗原に対し、Tヘルパー2は必要以上にIgE抗体を製造するようB細胞に指令を出す。
- B細胞がIgE抗体を製造する
- マスト細胞がIgE抗体と結合する
- マスト細胞に結合したIgE抗体にダニやハウスダスト、花粉などの抗原が結合する。
- すると、マスト細胞がかゆみや炎症を起こすヒスタミンやロイコトリエンを放出する。
|
|
|
|
|
|
昔は、アトピーの原因は遺伝によるアレルギーによるものと考えられていました。そのため、親や家族にアトピーやアレルギーの人がいなければ、アトピーと診断されませんでした。しかし、近年、大気や水の汚染、食品添加物や環境ホルモン、そしてストレスなどで免疫機能に異常をきたし、遺伝に関係なくアレルギーを発症しアトピーを発症することがわかっています。
|
|
|
目次 次へ |
|